蒼薔薇の書斎

WT2シルバーレイン、WT3エンドブレイカーの日記のお部屋です。

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宴の後に(テディ)

「あ~……」と呻いて、少年は長椅子にう突っ伏していた。

「傷が痛むの?」
姉のブランシェが、少年…テディの顔を覗き込む。

「…たぶん、違う…」
テディは、長椅子のクッションを抱えたまま、ぼんやりと目を泳がせた。

「痛いけど、違う…」

ポケットから一枚の写真を取り出す。
家庭教師であり、テディの元婚約者でもあり、父親の従兄弟であり叔父…ぶっちゃけ、近い親戚である男に渡されたもの。
悪戯っぽい笑顔と共に、きっと喜びますよ、と囁かれた写真の束の一枚。
彼に貰ったものが、意外にお守り代わりになってしまったのが、ちょっと癪に障る。

「不思議だ…」
不思議、不思議だ。
何故、人は時として、生きている者より死んだ者に惹かれるのだろう。
大切なのは変わらない筈なのに、生者への想いを振り切ってまで、死に近づこうという意思。
自分でさえ。


「人は、弱いわ」
ブランシェが、きっぱりとした声音で言った。
「人は弱い。自分の大切な人を亡くした時なんて、世界最弱の生き物と言ってもいいわ」
ああ、姉は知っているのだろう、とテディは思う。
柩に篭った時の自分の願いを。
…そして、また呼び覚まされた…。

「でも、それがなに?」

姉の声が高くなり、テディは顔を上げる。

「誰かの死を悼んで。泣いて、悔やんで、自分を責めて。苦しみにのた打ち回ろうとも。
それは、私たちに与えられた、大切な才能。
目の前で、大切な人が死んでも、心一筋動かせないような生き物になんて、私はなりたくない」


ああ、そうか。
僕は苦しんでも、哀しんでもいい。
そういう時、無理に、笑わなくても、いい…。



ぼんやりした瑠璃色の瞳から、涙が滴り落ちた。

「ブランシェ」
「…うん」
「僕は、忘れたくないよ…」
「そうね」
「この痛みを、忘れたくない…」

クッションで顔を覆い隠す。
それは、ずっと、ずっと、行方不明だった、ある哀しみの物語。














忘れようとしても無駄だった。
だから、それを受け入れることにした、みたいな話。
テディの疑問は、私が長年抱えている疑問でもあります。
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