蒼薔薇の書斎

WT2シルバーレイン、WT3エンドブレイカーの日記のお部屋です。

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私の大切なひと。

猫さんと狐で、かぐや姫みたいな話を。
台詞は他PLさまから頂きました。

家族を亡くして独りぼっちになってしまった猫さんは、狐に、桜の樹の傍にある巣穴に連れて行かれてしまいました。
ふわふわの寝床で、狐のしっぽに包まれて眠りながら、猫さんは考えます。

狐さんはどうやって俺を食べるのかなぁ…。
丸呑みかな? それとも食い千切られるのかな?
痛いのはやだな…。

猫さんの脳裏に、狼に食べられた家族の姿が浮かびます。
「逃げなさい!!」
……叫んだのは誰だったのでしょう。


狐は、表向き猫さんに親切に見えました。
毎日、紅葉の綺麗なところに連れて行ったり、大きな魚のいる泉に遊びにいったり、どんぐりを拾いに行ったりします。

狐さんは、今日は俺を食べないのかな?

猫さんは毎日考え込みます。
きっと、食料のたっぷりある秋の間には、猫さんにいっぱい食べさせて、あとで美味しく頂く気なんでしょう。
猫さんの確信の一つは、狐がけして猫さんに入らせない穴にありました。
それは、巣穴と横穴で繋がっていましたが、狐は獲物を咥えてこの穴に入ると、すぐに入り口を丸い石で閉じてしまいます。
出てくるときも、すばやく塞いでしまうので、猫さんは中をみたことがありません。

きっと、あそこは狐さんの秘密の部屋なんだ…。

猫さんはそう考えました。

もしかしたら、今まで食べてきた猫の毛皮が落ちているのかもしれない。それで、俺もいずれあそこで狐さんに食べられてしまうんだ…。

猫さんは不安そうに横穴を見やりました。


狐を怖がっているのに、猫さんは逃げ出そうとはしませんでした。
猫さんは、独りぼっちでたぶん自分が寂しかったんだ、と思いました。
今日も、狐はご機嫌で、猫さんを自分の毛皮で包み、「大好き大好き」とぺろぺろ舐めてくれます。

こんなに優しくしてくれるのに、冬になったら俺のこと食べちゃうんだ…。

猫さんは悲しくなりました。
食べられたら、もう狐には会えなくなってしまいます。ふかふかお腹で眠ることも、一緒に野原を散歩することも出来ないのです。

寂しい、寂しいよう…。

その日から、猫さんは毎晩、一度外に出て空を見上げるようになりました。
雪が降ったら、冬が来る…。
初雪が降ったら、もう狐の傍にはいられなくなる…。

猫さんは、毎晩、雪が降らないことを祈りました。
祈りが通じたのか、その年の初雪はとても遅く遅くやってきました。


その日は、朝からとても寒い日でした。
灰色の雲が、空を覆っています。
今日は早く巣穴に戻ろう、と狐が言い出しました。
猫さんは、とぼとぼと重い足取りで狐の後ろについて歩きました。

巣穴に戻っても、猫さんは碌にものが食べられませんでした。
狐は心配そうでしたが、猫さんの胸はさらに締め付けられるのです。

狐さんが心配してくれるのも、もうちょっとの間だけだ…。

猫さんは、巣穴の入り口で、じっと空を見上げます。

お願い、雪よ降らないで。
もう少し、あと少し。一晩でいいから。今夜だけは、狐さんと一緒にのんびりと眠らせて…。

そんな猫さんの想いを裏切るように、とうとうちらちらと白いものが舞い落ちてきました。
初雪です。
猫さんの息もすっかり白くなり、体も冷たくなってしまいました。

猫さん、そこにいると寒いから、こっちにおいで。

狐が呼ぶ声がします。猫さんは振り返ると、黒くて綺麗な目で狐を見つめました。

狐さんは、いつ俺を食べるの?

狐は緑色の目をまん丸にしました。

食べてもいいから、いいから…今夜は食べないで。

猫さんは狐に駆け寄ると、暖かい毛並みに顔を埋めました。
ふっくらとしっぽが猫さんを抱き寄せます。
雪がふったら冬です。狐は近々猫さんを食べるに違いありません。
それでも、もう少しは食べないでおいてあげるよ、と言われたくて、猫さんはぐいぐい体を押し付けました。

猫さんのことは食べないよ。

狐はようやくそう言いました。

だって!冬になって食料がなくなったら、俺を食べるんでしょ? そのために連れてきたんでしょ?

猫さんがそういうと、ぶらーんと自分の体が持ち上げられたのを感じました。
本当のことを言われたので、狐が怒っているのでしょうか。
そのまま、猫さんはあの丸い石の先の、秘密の穴に連れて行かれました。


穴の中はとっても寒くて、猫さんは思わずぶるぶる震えてしまいます。
まるで、外に出たみたい。
狐は猫さんを下ろすと、しっぽをふりふりしました。

ほら、猫さん、冬の間の食料だよ。

得意げなその声に、猫さんは周りを見回しました。
果物があります。どんぐりやくるみもあります。
特に、冷たい風が吹いてくる天井の穴の近くには、お魚などのお肉が蔦の先にぶら下がっています。

これからお腹が空いたら、いつでもここに来て好きなものを持ってきて食べてね。

狐は嬉しそうにそう言うと、猫さんを咥えてまた巣穴に戻っていきました。

…狐さんは、俺を食べないの?

寝床に戻って、猫さんは信じられなくて聞きました。

食べないよ。だって、食べたら独りぼっちになっちゃうから。

狐はそう答えて、猫さんをぎゅっと抱きしめました。






(おしまい)
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