蒼薔薇の書斎

WT2シルバーレイン、WT3エンドブレイカーの日記のお部屋です。

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<シュレーン>手のひら。

お蔵入りにしたネガティブレーンをこっそりと。


白く、レースをたっぷりとあしらったドレス。
長すぎる金色の髪が、まるで何かを誘うように揺れる。

美しく。

…誰だ。

気高く。

…これは誰?

誰からも愛された、月光の姫君…。



ハロウィンの賑やかなパーティの席で。
思い思いの”悪戯”という魔法を掛けて楽しんでいる友人達の姿。
その中で、レーンは一人凍りついていた。

気付かれてはいけない。
自分が何を考えているか、何を感じているか、誰にも。
唇は薄く笑みを浮かべて、瞳を楽しげに微笑みながら、自分の背後に立つ母の気配に…怯えているだなんて。
誰にも知られたくない。
背筋を、ひやりと冷たい汗が這う。

”私の可愛いお人形、シュシュ・ドール…”

何百年もの記憶の果てから、甦る声。
一度も忘れたことのない、母の。
自分を嬲るように見つめて、優しく微笑んで。
相手が激しく傷付くのが無上の喜びと囀る、透き通った硝子のような嬌声。

白いドレスの、長い金髪の、翡翠色の瞳の、今の自分によく似ているような。

ひたり、とほっそりとした指が背後から伸びる。
お前は、私、と。
お前は、鏡に映った月の影にすぎない、と。
白い指が、喉に絡まって声を奪う。

無意識のうちに、レーンの指が胸元の十字架に触れた。
エフェメローズの一族の中で、”正気”を象徴するその鎖。

…喉が渇いたでしょう?
柔らかな吐息が耳に吹きかかる。
その枷を外せば、好きなだけ、飲んでいいのよ、と。
赤い紅い、温かな鮮血を。
狂気のまま、喉に牙を突き立てる黄金の淑女。
あれこそ、お前のあるべき姿だと。

”さぁ、次の獲物は、どれかしら…?”

声に促されて、虚ろな瞳が空を彷徨う。


「…どうせですから、抱っこしやすいようにもっと小さくなっちゃいますか?」


頭上で何かが爆発し、一瞬で目が覚めた。

黒髪に、黒曜石のような漆黒の瞳。愛らしくピョコンと立った猫耳に、わふわとした虹色のストール。
あどけない、それでいて現在の面影を残した、その少年を見た瞬間に。

背後に淀んでいた筈の、金色の亡霊の影は、太陽を浴びた霧のようにあっけなく拡散する。
渇いていた心に、本当に欲しかったもの、それは血ではなく…



「ん~、可愛い~♪」
気付くと、腕を伸ばして抱き上げていた。当たり前のように。
頬が自然に綻び、暖かなもので満ち足りていく。
無償で自分を信頼し、体を預けてくれるその幼い姿。
花のような笑顔を向けて、触れて、抱き付いてくれる。
愛しい、愛らしい、愛している…などという拙い言葉が、ぽろぽろと胸から溢れ零れる。

鏡に映る二人の姿は、恐ろしげなものではなく、仲の良い親子のようだった。
狂気に陥る前は、母もこんな顔で自分を抱いたのかもしれない、と初めて思う。
…もしそうでなかったとしても、今は彼が傍にいるから。


私は、ずっと笑っていられる。










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